
近年、夏の暑さが年々厳しさを増し、屋内でのイベントや講演会でも熱中症のリスクが無視できなくなってきました。
特に体育館のような空間は、想像以上に熱がこもりやすい環境です。
イベントの主催者としては、「屋内だから大丈夫」と油断せず、参加者、とりわけ高齢者に配慮した熱中症対策を講じることが求められます。
本記事では、体育館で行われる講演会や講習会などのイベントにおいて、成人・高齢者を対象にした具体的な熱中症対策を6つの視点から解説します。
安心・安全な運営のために、ぜひチェックしてみてください。
1. 会場環境の整備
■ 換気の徹底
体育館は熱がこもりやすく、空気が滞留すると室温や湿度が上昇しやすくなります。
*こまめに窓やドアを開放して空気の入れ替えを行いましょう。
*大型扇風機や送風機の活用により、空気の流れを生み、体感温度を下げる効果も期待できます。
■ 空調設備の活用
常設の空調だけでまかなえない場合は、
*スポットクーラーや移動式冷風機のレンタルを検討します。
*導入の際は、音や風の向きにも配慮が必要です(講演中に邪魔にならないように設置位置に注意)。
なお、
*スポットクーラーはエアコンのように体育館内の気温を低下させる能力はなく、文字通り、スポット(冷たい風が出ているところだけ)をクーラー(冷やす)ものです。
*大型扇風機は強い風を起こし涼を取る、空気を循環させるものです。
→どちらか一方ではなくどちらも使うことが望ましいですが、現実問題、スポットクーラーは排気口が必要であるため、体育館での利用には少し使い勝手が良くないように思います。
■ 日差しの管理
屋内でも直射日光の影響を受けるため、
*窓に遮熱シートを貼ることで温度上昇を抑えられます。
*カーテンやブラインドの使用も併用して、会場内の温度上昇を防ぎましょう。
2. 水分補給の促進
■ 飲料提供スペースの設置
*受付近くや出入り口付近に冷水・経口補水液の配布コーナーを設置。
*休憩時間中に必ず水分補給を呼びかけるなどの運営上の工夫も重要です。
■ 飲料の工夫
*単なる水ではなく、ナトリウムやミネラルを含む飲料(経口補水液やスポーツドリンク)を積極的に提供。
*高齢者は喉の渇きを感じにくいため、「定期的に飲む」ことを意識づけましょう。
3. 休憩時間・間隔の設定
*60〜90分に一度、10〜15分の休憩を設けることで、体温上昇を抑える時間を確保。
*高齢者が多い場合は、より短いサイクル(45〜60分)での休憩が望ましいです。
*休憩中は空調の効いた部屋や風通しの良い場所で過ごせるよう案内します。
4. 熱中症対策用品の備え
*冷却シート、氷嚢、冷感スプレーなどを、受付や休憩所に常備。
*塩分補給タブレットなども配布し、ナトリウム不足を防ぎます。
5. 座席配置と服装への配慮
■ 座席の配置
*隣との距離をある程度確保して、通気性を妨げないレイアウトに。
*密接・密集を避けることは、暑さ対策だけでなく感染症予防にも有効です。
■ 服装の案内
*事前案内で「涼しい服装でお越しください」と明示し、体温調整を促す。
*特に高齢者は厚着しがちなので、着脱しやすい服装を推奨しましょう。
6. 熱中症予防の案内と教育
■ アナウンスの実施
* 開会前に「熱中症予防のため、こまめな水分補給と休憩をお願いします」と案内。
* 途中にもリマインドのアナウンスがあると効果的です。
■ 異変時の連絡体制
* 参加者が体調不良を訴えた際の連絡先や誘導先を明示しておく(スタッフ腕章や掲示など)。
* 応急処置のマニュアルをスタッフ間で共有しておきましょう。
総合的な対策のポイント
* 「冷やす」「飲む」「休む」「知らせる」の4原則を軸に、予防と早期対応の両面を重視しましょう。
* 特に高齢者には早めの対応が必要であり、自覚症状が出る前の対処が重要です。
* 対策は複数を組み合わせ、主催者・参加者双方が意識できる運営設計を目指しましょう。
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